急性虫垂炎

 

・一般には「盲腸」といわれますが、医学的には急性虫垂炎が正式な病名です。大腸の盲腸という部位の下端に突出した虫垂の炎症です。

・小児で腹痛の原因になる外科的疾患では急性虫垂炎の頻度が最も高く、とくに6歳以下の乳幼児では診断の遅れから重症になることがまれではありません。

 乳幼児では虫垂突起の壁が薄く、炎症の進行が早く、容易に虫垂壁に穿孔が起こり、腹膜炎となるからです。

 

・症状は、腹痛、嘔吐、発熱です。多くの場合、はじめに上腹部痛が現れます。痛みは時間とともに右下腹部痛となり、経過中嘔吐がみられることがあります。

 次第に37・5℃前後の微熱〜軽度発熱が現れます。炎症性疾患なので必ず発熱を伴います。炎症が進行すると、右下腹部痛は強い腹痛となります。

 

・診断:発症から約12時間を経過すると、血液検査で白血球数が増え、炎症反応(CRP)が陽性となります。診断には腹部触診、直腸診が重要です。

 

・治療は、外科的に開腹し虫垂切除をします。最近は腹腔鏡下虫垂切除術もかなり行われています。

 壊疽性虫垂炎となって腹膜炎を併発し、腹腔内にうみがたまって腹腔外に誘導するチューブを留置した場合は、長期の点滴、抗生剤の投与が必要です。